外国商標

出願ルートの選択

外国において商標の保護を受けるためには、保護を求める国において商標登録出願を行い商標登録を取得する
必要があります。輸出先の国については、商標トラブルを未然に防止するためにも、商標登録が不可欠です。

外国への出願を行う際には、
(1)各国毎への直接出願
(2)EU(ヨーロッパ連合)に属する国に統一的に効力が及ぶ共同体商標出願
(3)マドリッド協定議定書(以下、マドリッドプロトコルといいます。)の締約国について、一つの国際登録により保護を
  求めるための国際登録出願
の三つの出願ルートが選択できます。それぞれのルートの特徴について以下に簡単に説明します。


各国直接出願ルート パリ条約加盟国

最も一般的な出願方法です。日本の商標出願日から6ヶ月以内であれば、外国出願をする際にパリ条約等に基づく
優先権を主張することが可能です。
適法に優先権を主張すれば、第2国出願(外国出願)が第1国出願の日(日本での出願日)に行われたものとして
扱われ、(第1国出願から第2国出願までの間になされた行為、例えば、他人による類似商標の出願、により不利な
取扱を受けず、第3者のいかなる権利等をも生じさせないとする利益であり、)特に先願主義を採用する国において
実益があります。

本ルートは以下の条約に加盟していない国に出願する場合や、出願対象国が少数で以下のルートを利用する必要
のない場合等に利用されます。
出願国数が増えればそれだけ費用も増える、商標の維持・管理も各国毎に行わなければならない等のデメリットは
ありますが、各国毎に現地の代理人を通じて出願するので、現地での最新情報が得られたり、商標の保護について
迅速な対応が期待できる等のメリットがあります。
パリ条約加盟国以外の国でも、世界貿易機関の加盟国、商標法条約の加盟国又は日本と工業所有権の保護に
ついて相互に保護し合う旨の条約を締結している国との間では、出願を行い、一定の保護を求めることができます。


共同体商標出願 加盟国

共同体商標庁に対して単一の商標登録出願を行うことにより、EUの全ての構成国に平等の権利を取得することが
可能です。保護を希望する構成国を指定する必要はなく、単一の出願で共同体構成国のすべてに自動的に出願
されたことになります。加盟国の一国で使用していれば、不使用による取消を免れることができます。


マドリッド・プロトコルに基づく国際登録出願 加盟国

日本国特許庁に出願又は登録されている商標を基礎として、保護を求める締約国を明示してWIPO(世界知的所
有権機関)の国際事務局に対して、日本国特許庁を通じて、国際出願を行います。
原則各国毎の手続が不要で、代理人費用等を節約できます。外国商標の一元的管理が可能となります。
日本での商標出願又は登録を基礎として出願を行わなければなりません。
国際登録の日から5年間は基礎となる出願又は登録に従属しますので、基礎となる出願が最終的に拒絶されたり、
登録が消滅した場合には、国際登録も取り消されます(セントラルアタック)。
但し、各指定国への国内出願に変更することが可能です。